
着実に資産を増やしたいなら積立投資がベストな理由
投資を始めるきっかけは人それぞれですが、「投資で今の資産を10倍にしたい」や「目標は株で1億!」といったギャンブル性の強い理由ではなく、どちらかといえば「銀行に預けていてもお金は増えないし、それなら投資で少しでも増やしたい」といった堅実な動機を持つ人が多いのではないでしょうか。
こういった、着実に資産を形成したいという人には、スポット購入(※まとまったお金で一括で投資すること)より、毎月コツコツと投資する「積立投資」が断然おすすめです。今回はその理由をご紹介します。
積立投資の効果とは
突然ですが、以下のような投資信託Aと投資信託Bがあった場合、みなさんならどちらを購入したいでしょうか?


投資信託Aは順調に値段が上がっていて、とても優良な商品に思えます。対して投資信託Bは年初から値段がかなり落ち込み、年末にようやく回復してきた印象です。では、この2つの投資信託を毎月1万円ずつ1年間買い続けた場合のリターンを比べてみましょう。
表1. 投資信託Aと投資信託Bの1年後のリターン
投資信託A | 投資信託B | |
---|---|---|
投資元本 | 12万円 | 12万円 |
購入口数 | 94.4口 | 167.9口 |
単価 | 1,750円 | 1,050円 |
時価(単価×購入口数) | 16万5,218円 | 17万6,303円 |
リターン | 37.7% | 46.9% |
投資信託Bは、投資信託Aを大きく上回るパフォーマンスを上げています。明らかに投資信託Aの方が優れているように見えたのですが、なぜでしょう?
定額(この例だと1万円)ずつ買い続けた場合、値段が安い時には口数が多く買え、値段が高い時はわずかしか買えません。要するに、安い時に買いだめし、高い時には買い渋るという主婦の知恵のような買い方がされます。
上の例で見てみると、毎月1万円という予算では、投資信託が1,000円の時は10口しか買えませんが、半値の500円になると20口買えます。結果、12月時点の単価は投資信託A=1,750円、B=1,050円と圧倒的に投資信託Aの方が高くなっているにも関わらず、投資信託Bは安い時の買いだめ効果で購入口数が多くなったため、リターンが投資信託Aを上回ったのです。
投資信託Bはわかりやすく投資商品の値段が低い期間ばかりにしましたが、今度は次のような値動きをする投資信託Cのリターンを見てみましょう。

本来投資商品の値段は、投資信託Cのように上がったり下がったりするのが普通です。長期間投資しようとするならなおさら波があるものです。この投資信託Cを同じように毎月1万円ずつ買い続けた時のリターンは次のようになります。
※値段がマイナスになる期間とプラスになる期間の長さを同じにするため、AとBより投資期間を1ヶ月長くしています。
表2. 投資信託Cの13ヶ月後のリターン
投資信託C | |
---|---|
投資元本 | 13万円 |
購入口数 | 150.8口 |
単価 | 1,000円 |
時価(単価×購入口数) | 15万780円 |
リターン | 16.0% |
いかがでしょうか。いきなり値段が下がり始め、プラスに転じたかと思えば結局元の値段に戻るという、お騒がせ投資信託Cでも、積立で購入すれば主婦の知恵的な買い方が発動され、16%のリターンとなります。
このように単純に思える積立投資ですが、実は、長期に渡って投資することでリスクを軽減し、安定した収益を得る「ドル・コスト平均法」という手法として、投資の世界では広く知られています。
積立投資は基本的にほったらかしでOK
投資信託Cのグラフをもう一度見てみましょう。

理想的な話をすれば、同じ13万円を投資するなら、1番安くなった4月に一括で購入し、期間中最高値を記録している10月の1,500円の時に売れば最高の利益が出ます。
ただし、こういうスポット購入の難しいところは、売買のタイミングが非常に難しい点です。
投資経験のある人であれば、これから値段が下がりそうだから一括で買う勇気が出ないとか、買った後に値段が急落してショックを受けたなどの経験があるのではないでしょうか。間違って高値の時に一括で買ってしまうと、利益が出るまで相当待たなければならなくなります。
もちろん、投資でバリバリ稼ごうという人は、チャートや経済情勢を分析し、適切なタイミングで売買することを目指すのもいいと思います。
しかし、普段日中に働いている人であれば、専門家のように四六時中投資のための分析に時間を取れないことが普通でしょう。
また、一括で購入すると売るタイミングですべてが決まるため、毎日値段をチェックし始めるでしょうし、その値動きに一喜一憂することになります。現実にこの状態になると、相当なストレスを感じるはずです。
一方、いったん積立投資を始めてしまえば、特に商品の値段を気にする必要はありません。10年20年とほったらかしでいいでしょう。値段が上がっていて不安になる人はいませんし、値段が下がっていても「あ、今は安い時の買いだめ時だな」ぐらいに思っておきましょう。
このように、投資をする時の心理的な負担が少ないことも、積立投資の大きなメリットです。
積立投資はいつ始めればいい?
スポット購入では買うタイミングが大切です。できるだけ安い時に買った方が利益が出やすいからです。では、積立投資はいつ始めればいいのでしょうか?ここまで読んでくださったみなさんであれば、もうお分かりですね。
そう、積立投資を始めるベストなタイミングは、「今すぐ」です。
今回ご紹介したように、積立投資は、普段仕事をしていて投資情報などを頻繁にチェックできない人や、ハイリスク・ハイリターンな投資ではなく、長期的にコツコツ資産を増やして行きたい人にとてもおすすめな投資方法です。次回は、投資方法は分かったけど、何に投資すればいいのか知りたい人に向けて、おすすめの投資信託の選び方をご紹介します。
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