老後のライフプラン2

これまでの老後のライフプランは参考にならない(2)

前回の記事『これまでの老後のライフプランは参考にならない(1)』では、1990年生まれの今のアラサーの人たちの半数は、102歳より長生きするという可能性をお話ししましたが、この平均寿命の伸びと共に、もう一つ伸びて行くものがあります。それが「健康寿命」と呼ばれるものです。今回はその健康寿命とそれが伸びた時の将来の働き方をご紹介します。

健康寿命とは?

健康寿命という言葉を聞きなれない人も多いと思いますので、少し説明を挟みます。健康寿命は、

「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」

と定義されています。つまり、平均寿命から健康寿命を引いた年数が、日常生活に制限がある状態での期間になります。

例えば、2013年の日本人女性の平均寿命は86.61歳ですが、健康寿命は74.21歳だったため、平均して12.4年、外出するのに制限があったり、寝たきり状態の期間があるということになります。

日本だけではなく、世界でも、平均寿命と共に健康寿命は伸びている傾向があります。

引退できる年齢の概算

1910年代生まれのAさんと、1990年生まれのBさんを比べてみましょう。

年金をまったく期待できないとし、どちらも20歳から働き始め、Aさんは60歳で引退、Bさんは65歳で定年を迎えるとします。引退後の生活費は現役時代の50%として、Aさんは75歳で天寿を全うし、Bさんは100歳で他界した場合、現役世代に必要な貯金は、

  1. Aさんは現役時代の40年間で、引退後15年の生活費を貯める
  2. Bさんは現役時代の45年間で、引退後35年の生活費を貯める

となります。

まず、Aさんの場合、現役時代40年間を通し、手取りの18.75%を貯金すれば引退後15年間は現役時代の50%の資金で生活できることになります。18.75%というのは少し大きいですが、年金制度もあるので実際は10%台前半で十分だったでしょう。

次に、Bさんの場合、現役時代45年間を通し、38.89%の割合で貯金をして行く必要があります。厚生年金やiDeCoなどで自動的に積み立てているものもありますが、収入の4割弱を45年間貯金に回し続けるのはほとんど不可能と思われたのではないでしょうか?

例えば、Bさんが80歳まで働くとすると、現役で働く時代は60年、引退後の生活は20年となり、現役世代を通して貯金に回す必要がある金額は、収入の16.67%に抑えることができます。

この例では、社会保障や家族構成などをまったく考えず、単純なモデルで概算を出しましたが、この単純な例からも、人生100年時代では、今までの常識より相当多くの貯金をするか、働く期間を10年以上伸ばすかの選択をせざるを得なくなると予想するのは難しくないと思います。

老後の働きかたはどうなる?

これまでは、60歳からの労働というと、元々いた会社に嘱託として再雇用されるか、専門的な技能の必要がない他の仕事を選ぶかといった2択でした。仕事に選り好みはできないかもしれませんが、家にずっと居るよりは生活に活力が出るし、新しい人脈を広めることができるというメリットもありました。

しかし、現役時代が50年、60年と続くとなるとどうでしょう?60歳からでもあと15年、20年と働く期間が伸びて行くことは十分に考えられます。その時、60年間同じ仕事を続けることはできるでしょうか?また、それほどやりがいを感じないことを15年20年と続けれるでしょうか?

ここで、始めから80歳まで働くというライフプランを立てようとした場合、ハードルとなることが二つあります。

  1. 健康的な問題
  2. スキルの問題

です。

特に2のスキルによって、将来の可能性は大きく変わってきます。むしろ、スキルが無いから今の会社を引退した後仕事を続けたく無いという人も多いでしょう。

しかし、計画的にスキルを身につけていけば、20歳から65歳、65歳から80歳と分ける必要も無くなります。例えば20歳からの50歳と、50歳から80歳までと仕事を分けることもできますし、20年ごとに違う仕事に集中するというライフプランも当然考えられるようになります。

それに応じて、15年働いてお金を貯め、2年間専門学校に通い、スキルを身につけたり、一時期は夫が家計を支え、その間に妻がスキルを身につけ、一時期は逆のパターンで夫が専門知識を得る、というライフプランも珍しくなくなるはずです。

まとめ

働く期間が60年になるかもしれないと聞いて、憂鬱になった人も多いかもしれません。しかし、世の中の人すべてが自分が望む仕事をしているわけではないですし、そもそも学生の時に決めた選択にずっと満足する人は稀で、他の仕事に興味を持つ人も多いでしょう。そもそも、人生でやりたいことが1つだけという人は少ないのではないでしょうか?

働く期間が長くなるということは、いろいろなことができる時間が増えると捉えることもできます。そのためのスキルは、若い時代に得た方が有利なことは間違いありません。もう一度、自分がやりたいことを見つめ直し、長い視点でそのためのスキルを身につける計画をしてみてもいいのではないでしょうか?

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