老後のライフプラン

これまでの老後のライフプランは参考にならない(1)

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの読者が選ぶベスト経営書2017に選ばれた『LIFE SHIFT(ライフシフト)』という本を友人から借りたのですが、この本では2014年生まれ(現在4歳)の日本人の平均寿命は109歳とされています。

我々ファイナンシャル・プランナーは、大抵の場合、お客様の平均余命を元にライフプランを立てるのですが、もし今発表されている平均余命より寿命が長くなるのであれば、当然ライフプランを考え直す必要が出てきます。

何週かに渡って、老後のライフプランをどう考え直すのかをご紹介しますが、今回はまず、今後考えられる平均寿命の推移をご案内します。

平均寿命と平均余命

厚生労働省の調査によると、2016年の日本人の平均寿命は、女性で87.14歳、男性で80.98歳となっています。

例えば今30歳の人がこれを見て、「87 – 30 = 57だから、あと57年生きられるってことね」とするのはよくある間違いですが、この「平均寿命」は、その年生まれた赤ちゃんがどれだけ生きるのかを表した数字です。この場合、2016年生まれの赤ちゃん(女子)は、平均して2103年まで生きるということです。

では、今30歳の人が何歳まで生きるのかと言えば、この場合は「平均余命」という指標を使います。この平均余命は、厚生労働省が毎年発表している「簡易生命表」で確認することができます。

厚生労働省 平成28年簡易生命表

この平成28年簡易生命表によると、30歳の女性の平均余命は57.61歳ですので、2016年時点で30歳の人の寿命は87.61歳ということになります。ほとんど平均寿命と変わらない結果になりましたが、この用語の違いは覚えておきましょう。

なお、0歳の子供より30歳の女性の方が平均寿命が長くなっていますが、これは寿命というのが「天寿をまっとうする」年齢だけではないためです。当然病気や事故などによって寿命が終わる場合もあり、若い頃の方がそのリスクが高いので、年齢が高くなるにつれて若干ですが平均余命は上がっています。

つまり、平均寿命を決める要因というのは、健康や食事・医療だけではなく、交通の整備や治安なども含まれるということです。

日本人の平均寿命は109歳?

厚生労働省が発表した平均寿命が80歳台というのは、冒頭で紹介した109歳と大きくずれていると感じるのですが、これは平均寿命の推計が2種類あることが原因とされています。

『ライフシフト』によると、平均寿命には、ピリオド平均寿命とコーホート平均寿命があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

ピリオド平均寿命・・・今生まれた人が55歳になった時も、55歳の平均余命は現在の水準と変わらないという前提で導き出した平均寿命

コーホート平均寿命・・・今生まれた人が55歳になった時、55歳の平均余命は現在の水準より伸びているという前提で導き出した平均寿命

年金制度の設計など、経済分野で平均寿命の水系を行う場合、ピリオド平均寿命を使用するケースが多いのですが、今まで平均寿命を伸ばしてきた要因が、健康、栄養、医療、教育、テクノロジー、衛星、所得の向上といったもの、特に最近では感染症の媒介生物の駆除や予防接種などの公衆衛生関連のイノベーションや、喫煙と寿命の関係についての啓蒙キャンペーンなどによることなどから、平均余命はこれからも伸びていくと述べられています。

このコーホート平均寿命による日本人の平均寿命が、2014年生まれの子供で109歳なので、平均寿命が10年ごとに2~3年一貫して伸び続けてきたことを考えれば、今の現役世代の方の平均寿命も大まかに計算できます。

2010年生まれ 108歳
2000年生まれ 105 ~ 106歳
1990年生まれ 102 ~ 104歳
1980年生まれ 99 ~ 102歳
1970年生まれ 96 ~ 100歳
1960年生まれ 93 ~ 98歳
1950年生まれ 90 ~ 96歳

コーホート平均寿命は少し長すぎる気もしますが、1950年生まれの人のピリオド平均寿命が58歳だったことを考えると、こちらの推定は見通しが甘く、将来の見通しとしてはコーホート平均寿命をベースにした方が実状に近いでしょう。

まとめ

今回ご紹介した推計によると、今30歳の人の平均寿命は、おおよそ102~103歳になりますが、ここで考えなければならないのは、65歳で老後の資金を貯めて引退というライフプランは、厳しいようですが、ほとんど実現可能性が無いということです。

22歳で就職したとして、65歳までの勤労期間43年で、残り37~8年の年金生活が送れるはずがなく、現役時代に無理をして貯金額を増やすよりは、初めから70歳、75歳まで働く予定をしておいた方が現実的です。

もちろん勤労期間が長くなるにつれて、職業の在り方やライフプランの立て方は大きく変わってきますが、次回からはそれらの問題についてご紹介していきますので、よければまたこのブログをご訪問ください。

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