商品選択の具体例

数字に騙されないための、商品比較の例

前回のコラム『商品選択の基準』で、商品の選択には、流動性、収益性、安全性の3つを考えることが大切だと書きましたが、今回はそれに引き続き、表面的な数字に騙されないための具体例をご紹介したいと思います。

例1. 終身保険と個人年金保険

30歳の男性が60歳まで30年間、月々2万円を払い続ける場合、払込金額の合計は720万円。

商品1. 終身保険

60歳時の解約返戻金:798万円(返戻率110.8%、年利換算0.85%)

※ただし、60歳の直前(低解約返戻期間)は568万円(返戻率78.96%)

商品2. 個人年金保険

60歳時の予定年金額:757万円(返戻率105.1%、年利換算0.25%)

商品3. 銀行の定期預金(利率0.02%)

60歳時の残高:722万円(100.03%)

 

上記3つの商品を比較すると、60歳になった時、商品3が受け取れる金額が一番少なく、商品1が一番多くなります。つまり、商品1の収益性が高いということになります。

理由もなく収益性が高くなることは無いので、商品1と2の収益性が高いということは、商品3に比べ、安全性と流動性に問題があるということがわかります。

例えば、どういう問題かというと、

・商品3が銀行で元本が保証されるのに比べ、商品1と商品2は保険会社が破綻した場合、元本が減るかもしれないという安全性の問題

・商品3がいつでも解約できるのに対し、商品1は30年間払込しないと、途中で解約した場合20%以上のペナルティーがあり、個人年金保険も平均17年は払込を続けないと、支払ったお金より少ない金額しか返ってこないという、流動性の問題

・インフレが起こった場合、銀行預金の利率が上がる可能性があるのに対し(定期預金を組み直す必要はありますが)、商品2と3は低い固定金利で定年まで運用しなければならないという、別の収益性の問題

などです。

なお、他にも要因はありますが、商品1と2を比べた場合、払い込んだ金額分だけ返ってくる期間が商品1の方が30年と長い(つまり、流動性が低い)ので、商品1の方が最終的な利率は良くなっています。

この3つのように、表面的な利率だけで比較するのではなく、保険商品を買う場合は、その保険会社が安全なのか、今後数十年間、月々2万円無理なく払い続けれるのか、将来に渡ってインフレが起こる可能性は低いのかなど、様々な視点から比較する必要があります。

例2. ローン繰り上げと投資信託

貯金が300万円あり、そのうちいざという時の200万円を引いた、100万円の使い道。

ケース1. 住宅ローンの繰り上げ返済

住宅ローン:35年固定金利型 金利1.5%

ケース2. 投資信託を買う

投資信託の予想利率3%

 

「これだけ低金利で住宅ローンが組める時代、繰り上げ返済をするより投資信託で運用する方がいいですよ」という記事を目にすることがあります。

確かに、上記の2つのパターンを比べると、住宅ローンの繰り上げ返済をするより投資信託で運用した方が利益が出るように見えます。

しかし、これも金利だけを比較した場合に陥る錯覚で、ケース1とケース2で大きく違うのは、ケースの2の投資信託の場合、資産が減るかもしれないというリスクが生じることです。つまり、安全性が低いということになります。

100万円を住宅ローンの繰り上げ返済に当てると、その100万円に付くはずだった1.5%の利息はノーリスクで減らすことができます。極端な話、100万円を1.5%で預金するようなもの。今の時代、ノーリスクで1.5%の運用ができる商品はおそらくありません。

結局、リスクのある投資信託と比較すると、ほとんどの場合、繰り上げ返済の方が有利になると私は考えています。

 

一般的に、商品を売ろうとする人は、収益性ばかりに注目させ、そのほかのリスクは軽く触れる程度であることが多いものです。

今回は具体例を2つご紹介しましたが、この例に限らず、銀行預金や国債などの元本保証の商品に比べ、利率(収益性)が高いものには必ずリスクがあります。

まずそのリスクがどういったものか、考えてみてください。

リスクが見えてくると、そのリスクと自分は向き合えるのか、リターンに比べデメリットの方が大きいのではないかなど、次第に自分で商品の比較ができるようになってきます。

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